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葬儀費用は故人の貯金から支払える?口座引き出しの方法と注意点
こんにちは。静岡の葬儀社 富士葬祭です。
故人様が亡くなられた際、葬儀費用の支払いについて不安を抱える方は多くいらっしゃいます。
「故人の貯金を葬儀費用に充てられるのか?」「故人の口座から引き出していいのか?」など、さまざまな疑問が浮かんでくることでしょう。
そこで今回は、故人様の貯金で葬儀費用を支払う際の手続き方法や注意点について、わかりやすくご紹介します。

目次
葬儀費用は故人の貯金で支払える?
結論から言うと、葬儀費用を故人様の貯金から、つまり相続財産から支払うことは法律上可能です。
銀行の預金、郵便貯金、タンス預金などが活用できます。
一般的に葬儀費用は40万~160万程が目安とされています。
突然の訃報からすぐに葬儀、そして支払いと進んでいくには、負担の大きい金額です。
そんなときに、故人様の貯金(相続財産)から葬儀費用を支払うことができれば、ご遺族の経済的負担を軽減できるでしょう。
葬儀費用の相場や内訳などについては「お葬式の費用はいくらかかる?静岡の場合や費用を抑える方法も」でも詳しくご紹介しています。
ぜひあわせてご覧ください。
葬儀費用を故人の貯金口座から引き出す方法
葬儀費用を故人様の口座から引き出す場合は、状況によって必要な手続きや知っておくべき注意点があります。
貯金を引き出す方法とあわせてご紹介していきます。
金融機関の仮払い制度を利用して引き出す
2019年7月から「遺産分割前の相続預金の払戻し制度」が施行され、遺産分割協議が完了していなくても、故人様の口座から一定額を引き出せるようになりました。
ほかの相続人の同意は必要なく、単独で申請可能です。
次のいずれか少ない方の金額が引き出し上限です。
- 相続開始時の預金額 × 1/3 × 申請者の法定相続分
- 1つの金融機関につき150万円まで
【必要書類】
- 故人様の出生から死亡までの戸籍・除籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 申請者の印鑑証明書
- 各金融機関所定の申請書
手続きには1週間〜1カ月程度かかり、戸籍などの書類収集にも時間がかかるため、早めの準備が大切です。
裁判所の許可を得て引き出す
仮払い制度の上限を超える金額が必要な場合は、家庭裁判所に「預貯金債権の仮分割の仮処分」を申し立てて引き出す方法があります。
仮処分が許可されると、故人様の預貯金の全額または一部を引き出すことが可能です。
ただし、仮処分を受けるには以下の条件を満たす必要があります。
- ほかの相続人の利益を害さないこと
- 相続債務の返済や生活費など、支出の必要性があること
- 遺産分割に関する調停や審判の申し立てをしていること
【必要書類】
- 故人様の出生から死亡までの戸籍・除籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 申請者の印鑑証明書
- 遺産分割調停または審判の申立書
手続きは複雑なため、弁護士や司法書士など専門家への相談をおすすめします。
このほか、相続人同士の話し合いで先に遺産分割協議を進める方法もあります。
遺産分割が完了すれば、口座凍結を解除でき、貯金を自由に引き出せるようになります。
口座凍結前ならATMで引き出せる?
故人様の口座は、金融機関が死亡の事実を確認すると凍結され、以後は引き出しができなくなります。
そのため、凍結前であればキャッシュカードと暗証番号を使ってATMから貯金を引き出すことは技術的には可能です。
ただし、名義人死亡後に口座を利用することは、契約上の規定に反する場合があり、トラブルの原因となることもあります。
故人様の貯金を葬儀費用に充てたい場合は、他の相続人の同意を得てから行い、引き出した金額や使い道を記録しておくことが大切です。
また、金融機関によって1日の引き出し限度額が異なるため、手早くまとまった金額を用意したい場合は、仮払い制度など公的な方法を検討しましょう。
葬儀費用を故人の貯金で支払う際の注意点

故人様の貯金を葬儀費用に充てる際、トラブルを避けるために次の点に注意しましょう。
領収書・明細書を必ず保管する
何にいくら使ったのかがわかるよう、領収書や明細書を必ず保管してください。
相続人同士のトラブルを避けるほか、相続税の控除の根拠としても必要です。
領収書が出ない場合は、金額・日付・目的をメモで残すようにしましょう。
葬儀費用以外の支出に使わない
引き出した貯金を生活費など私的な用途に使用すると単純承認(故人様のプラスの財産とマイナスの財産をすべて無条件・無制限に引き継ぐこと)とみなされ、相続放棄ができなくなる恐れがあります。
また、故人様に借金がある場合、常識の範囲を超える豪華な葬儀を行うと、相続放棄が認められなくなる可能性があります。
債権者の債権を減らしてまで高額な葬儀を行うのは常識的でないと判断されるためです。
葬儀と直接関係のない支出は避ける
次のような費用は葬儀費用として認められない可能性が高いため、遺産から支出しないようにしましょう。
- 喪服代
- 宿泊費
- 墓地・墓石代
- 仏壇・仏具代
- 四十九日など法要の費用
- 香典返し
相続税の控除対象を理解する
支払った葬儀費用を相続財産から差し引くことで負担を軽減できますが、全ての葬儀費用が控除対象になるわけではありません。
相続税の控除対象となるのは、葬儀を行う上で必ず発生する以下のような費用に限られます。
- 通夜・告別式の費用
- 火葬料・埋葬料・納骨費用
- 宗教者への謝礼
- 葬儀での飲食接待費
- 遺体搬送費用
- 死亡診断書の発行費用
なお、香典は相続の対象外です。
一般的には喪主が受け取り葬儀費用に充てますが、相続人同士で事前に使い道を確認しておくと安心です。
葬儀費用の支払いに備えた対策をしておく
葬儀費用の支払いで慌てないよう、生前から準備をしておくことも有効です。
例えば、以下のような対応があるでしょう。
- 事前に口座から現金を引き出しておく
- 葬儀保険や生命保険へ加入する
- 葬儀会社の互助会へ加入する
- 自治体のサポート制度をチェックしておく
富士葬祭では、葬儀が終わったあとの相続のお手続きや遺品整理、法要などについてもアフターサポートとしてお手伝いをしております。
専門スタッフが丁寧にサポートいたしますので、お気軽にご相談ください。
葬儀費用は故人の貯金から支払えるが事前準備が大切
葬儀費用を故人様の貯金で支払うことは法律上可能です。
仮払い制度の利用や、家庭裁判所の許可を得る方法などがあります。
トラブルを避けるため、領収書や明細書は必ず保管し、葬儀費用以外には使わないよう注意しましょう。
また、引き出した貯金の使い道によっては、相続放棄ができなくなったり、相続税の控除が受けられなくなったりすることも。
豪華すぎる葬儀や、葬儀と直接関係のない支出は避けてくださいね。
生前から葬儀費用を準備しておくことは、ご本人やご家族の安心にもつながります。
葬儀保険や生命保険への加入、互助会の利用、自治体の葬祭サポートの確認なども検討すると良いでしょう。
静岡県の葬儀は、富士葬祭におまかせください。
いざというときに慌てないためにも、葬儀場の見学や事前相談も承っております。