葬儀の香典辞退の伝え方とマナーは？喪主・参列者の対応を解説

こんにちは。 静岡の葬儀社 富士葬祭です。

 

最近では「香典はお気持ちだけで十分です」と、香典辞退を選ばれるご遺族が増えてきました。

ただ、喪主の立場で香典辞退を検討する際に参列者へどう伝えるべきか迷ってしまう方や、参列者として辞退の連絡を受けた際の対応が分からず困惑する方も多くいらっしゃいます。

 

今回は、香典辞退とは何か、メリットとデメリット、さらに喪主・参列者それぞれの立場での対応まで詳しく解説します。

葬儀の香典辞退とは？選ぶ理由も

香典は、葬儀の際に参列者が故人様へ弔意を表し、葬儀にかかる費用の一部を支援する目的でお渡しする金品のことです。

仏教式に限らず、さまざまな宗教や宗派の葬儀で広く行われており、通常は香典袋に包んで、通夜や告別式の受付で手渡します。

 

香典辞退とは、葬儀を執り行うご遺族が「金銭のお気遣いは不要です」と意思表明し、香典の受け取りを控えることです。

香典辞退は訃報の連絡や案内状、葬儀会場の受付などで参列者に知らされます。

参列者はその案内に従い、香典を用意せずに式に臨めば問題ありません。

 

葬儀で香典辞退が選ばれる理由

近年では参列者を限定した家族葬や、式を省略する直葬といった小規模な葬儀が増加しています。

少人数で営まれる葬儀では香典の管理や返礼の手配に手が回らないこともあり、特に家族葬では香典辞退を選ぶご遺族が増えてきています。

 

 

葬儀で香典辞退をするメリット・デメリット

香典辞退を検討する際には、その利点と注意点の両面を理解しておくことが大切です。

ここでは、香典辞退のメリットと、知っておきたいデメリットをそれぞれ解説します。

 

葬儀で香典辞退をするメリット

まずはメリットをご紹介します。

 

喪主・ご遺族の手間を省くことができる

香典を受け取ると、受付での現金管理、金額や氏名の記帳、集計作業、香典返しの品選びや手配、礼状の作成と発送など、多くの事務作業が発生します。

辞退を選ぶことで、作業の手間や間違いへの心配もなく、故人様をしのぶ時間をより多く持つことができます。

 

参列者へ費用面での配慮ができる

遠方から足を運ぶ方にとって、交通費に香典の費用が加わると負担は大きくなります。

辞退を伝えることで「金銭的な心配はいりません」というメッセージが明確に届き、参列者も気兼ねなく弔意を表せます。

 

葬儀で香典辞退をするデメリット

次に、デメリットをご紹介します。

 

参列者が迷ってしまう可能性がある

香典辞退と知らされた参列者の中には、お金以外でどのように気持ちを伝えれば良いのか迷う方もいます。

供花や後日の弔問など、ほかの弔意の示し方をあらかじめ伝えておく工夫も考えておくと良いでしょう。

 

当日スムーズに進めるための事前準備が必要になる

辞退の意向を案内状や会場の掲示でしっかり伝えないと、当日に香典を持ってくる方が出て、受付でトラブルになる可能性があります。

葬儀社のスタッフや受付担当者にも事前に周知し、参列者からの質問に対応できるよう準備しておくことが大切です。

 

ご遺族の経済的負担が大きくなる

香典を辞退すれば、葬儀にかかる費用を全てご遺族が負担することになります。

事前に見積もりを確認し、資金計画をしっかり立てておく必要があります。

 

 

【喪主】葬儀での香典辞退の伝え方

喪主の立場で香典辞退を伝える際は、訃報を知らせる段階から葬儀後のご挨拶まで、一貫してはっきりと意向を示しましょう。

 

辞退を伝えるタイミング

香典辞退の意向を伝える場面は、大きく分けて3つあります。

 

①訃報の連絡や葬儀の案内時

親しい方やご近所への連絡では「恐縮ですが香典は辞退いたします」などと一言添えます。

案内状には「故人の遺志により香典は固くご辞退申し上げます」といった文言を記載し、事前に理解を得られるようにしましょう。

 

葬儀の案内状については「葬儀の案内状とは？種類や書き方、注意点をわかりやすく解説」で詳しくご紹介していますので、あわせてご覧ください。

 

②葬儀の受付時

葬儀当日は会場の受付に「香典辞退」と大きく書いた掲示を用意し、目につく場所に置きます。

受付を担当する方には「本日はお心遣いだけで十分でございます」といった言葉で、口頭でも伝えてもらうとより確実です。

 

③式後の挨拶時

式後は、会葬のお礼を述べる文章に続けて「香典は辞退させていただきましたが、温かいお気持ちに心より感謝いたします」といった一文を加えることで、改めて謝意を伝えることができます。

 

辞退を伝える際の心がけ

辞退を伝える際は、あいまいな言い方を避けて「香典は辞退いたします」といったはっきりした表現を用いましょう。

「お心遣いだけで十分です」などの言葉を添えると、金銭ではなく気持ちこそありがたいという意図が伝わりやすくなります。

 

また、「恐れ入りますが」「お気持ちに深く感謝しております」といった言葉を添えることで、相手への敬意を示すことができます。

 

香典を受け取った場合の対処法

辞退の案内をしていても、当日にお持ちになる方や後から申し出る方がいることもあります。

その場合は「辞退とお伝えしていたにもかかわらず、お心遣いをいただき恐縮です」と丁寧にお礼を述べましょう。

 

辞退を伝えていた場合、香典返しは基本的に不要とされています。

ただし、お礼の気持ちを形にしたい場合は、お礼状を送るだけでも十分です。

「このたびはお気遣いをいただき誠にありがとうございます　故人もきっと喜んでいることと思います」といった内容で、心のこもった感謝を伝えられます。

 

金額が大きい場合や目上の方からいただいた場合は、返礼品をご用意しても差し支えありません。

目安としては、いただいた額の3割から5割程度の品を選ぶと良いでしょう。

 

 

【参列者】葬儀で香典辞退と言われたときの対応

喪主から香典辞退の案内があった場合は、その意向を尊重し、無理に金銭を用意しないことが第一です。

辞退の意思は「余計なお気遣いは結構です」という明らかなメッセージですので、式に参列するだけでも十分に追悼の気持ちは届いています。

 

ただ、何か形で弔意を示したいという方もいらっしゃるでしょう。

以下では、香典以外で弔意を示す方法をご紹介します。

 

弔電でお悔やみを伝える

弔電は、参列が難しい場合だけでなく、香典や供花・供物が辞退されているケースでも用いられます。

故人様との思い出やご遺族へのいたわりの言葉を簡潔にまとめ、式の前日までに届くよう手配すれば、弔意をしっかりと伝えられます。

 

※「弔電の送り方をわかりやすく解説！マナーや文例も紹介」もご参考ください。

 

お花やお供え物を贈る

供花や供物も辞退との記載がなければ、会場に生花や果物などを贈ることも弔意の表し方の一つです。

葬儀社の提携先や専門の業者を利用し、仏教式であれば白や淡い色の花を選んで、式当日の午前中までに届けておくと良いでしょう。

 

ただし、案内に「香典・供花・供物ともにご辞退」とある場合は、ご遺族の意向に従い、用意しないことがマナーです。

 

手紙や弔問で気持ちを伝える

葬儀が終わった後に、改めて手紙で弔意を伝える方法もあります。

仏事用の便箋に故人様との思い出やご遺族への気遣いを記し、後日お送りすれば、ご遺族も落ち着いて受け取ることができます。

 

葬儀後に弔問を申し出ることも一つの方法です。

事前にご連絡して訪問日時を調整すれば、直接お悔やみの言葉をお伝えすることができます。

 

ただし、弔問も辞退されている場合は、手紙のみでお気持ちを伝えることがご遺族への配慮となります。

いずれの場合も、故人様やご遺族の意思を尊重することが大切です。

 

 

葬儀での香典辞退は明確な意思表示と互いの配慮が重要

家族葬や直葬といった小規模な葬儀が広がる中で、香典辞退を選ぶご遺族が増えています。

 

香典辞退にはご遺族の負担軽減というメリットがある反面、弔意の表現に戸惑いが生じるなどのデメリットもあります。

 

喪主として辞退を決めた際は、訃報から葬儀後まで一貫して明確に伝えることが大切です。

参列者の立場では、弔電や供花など現金以外で弔意を示すこともできますが、静かに参列するだけでも十分に気持ちは伝わります。

故人様やご遺族の意向を尊重し、お互いに負担の少ない温かい弔いの形を選びましょう。

 

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